火災リスクゼロを目指す!
工場の安全を守る火災対策のヒント

はじめに

工場 火災 リスク イメージカット

工場では火災リスクが常に存在しています。オイル漏れや設備汚れが引火性の材料と結びつくことで、重大な事故が発生する可能性があります。火災は、設備や製品への損害だけでなく、従業員の安全や企業の信頼を損なうリスクを伴います。きっと大丈夫、ではなく今一度真剣に工場火災の防止に向けた対策に取り組んでみませんか

本記事では、工場における火災リスクの原因とその防止策を徹底解説します。工場の安全性を高めるための実践的な知識として、ぜひご活用ください。

工場における火災の原因と防止策

主な火災の原因

工場で火災がおきる原因として以下のようなことが挙げられます。

原因1. 「オイル漏れ」

作動油や潤滑油の漏れがに、設備の高温部分や火花などに触れることで発火し、火災へと発展します。

原因2. 「設備や床の汚れ」

作業中に飛散する油や汚れが放置されると、引火しやすいです。床に蓄積した油が、作業者の靴底に付着した汚れも、リスクを拡げ火災の原因になります。

原因3. 「使用するオイルの性質」

引火しやすい(引火点の低い)潤滑油や金属加工油、作動油の使用は、火災リスクが増します。一部の工場では製品特性によりこれらの引火しやすい(引火点の低い)オイルの使用が不可欠な場合もあり高い火災リスクの元になっています。

火災防止の具体策

○ 難燃性オイルの採用

難燃性オイル例: 脂肪酸エステルオイル)を導入することで、火災リスクを大幅に軽減できます。これらのオイルは潤滑性能等の機能を維持しながら引火点が高く(難燃性)、安全性が向上します

また、合成油タイプの「省エネ型高性能オイル」も難燃性を有しており、様々な省エネ効果と火災を防ぐ効果を実現するための選択肢となります。

○ オイル漏れの早期発見と管理

オイル漏れを未然に防ぐため、定期点検を徹底しましょう。加えて、オイル吸収マットや防炎性設備の導入により、万が一の漏れにも迅速に対応できる体制を構築することが重要です。

○ 設備トラブル防止と最適なオイル選択

水グリコール系難燃性作動油を使用している場合でも、脂肪酸エステル型の油に切り替えることで、さらなる安全性を確保できます。切り替え時には高性能なフラッシングオイルを用いて設備内部を清掃することが重要です。ニイミ産業では1回のフラッシングで済むケースも多い高性能なフラッシング専用オイルも取り扱っています。

○ 汚れ管理と徹底と、オイル漏れ検知用の特殊蛍光剤

基本的なことではありますが、機械や床の定期清掃、防炎性の床材や汚れ吸収マットの設置など汚れの蓄積を防ぐために以下の対策を実施しましょう。またオイル漏れ検知用の特殊蛍光剤の活用することで、引火する可能性があるオイルの漏洩・流出をチェックする方法もあります。

- 機械や床の定期清掃
- 防炎性の床材や汚れ吸収マットの設置
- オイル漏れ検知用の特殊蛍光剤の活用
- オイル漏れ補修キットの活用

「難燃性オイル」で意外なメリットも!

難燃性オイルは、火災抑制への期待に加え、法規制の面でもメリットがあります。
特定の難燃性オイルや省エネ型高性能オイルでは引火点が250℃以上と高く、条例上の規制に該当しないケースもあります
そのため、危険物保管に関する手続きが不要となる場合があり、管理上の効率を高めることが出来る可能性があります。

高引火点油による規制緩和

分類 容量 規制区分 規制内容
第四石油類(危険物) 6,000L以上 危険物設備 消防法により規制、市町村長の許可が必要
第四石油類(危険物) 1,200L以上 少量危険物設備 条例により規制、消防署へ届出
第四石油類(危険物) 1,200L未満 規制なし -
可燃性液体類(指定可燃物) 2,000L以上 非危険物設備 条例により規制、消防署へ届出
可燃性液体類(指定可燃物) 2,000L未満 規制なし -

緩和の内容

  • 取扱数量制限の緩和
  • 防災・消火設備の設置が不要(新設時)
  • 工事時の消防署の許可が不要
※ 地域により細かなルールが異なるため、詳細は消防署に確認してください。

事例集:「難燃性油圧作動油」の導入事例

実際の現場で難燃性油圧作動油の導入事例を導入した事例をご紹介します。効果やメリットを確認していただき導入の参考にしてみてください。

事例①
自動車部品製造 M工場

工場規模:大規模 業界:自動車部品製造

火災・故障リスクの低い作動油を導入し、
その後国内外の工場でも導入

Before(導入前)

環境配慮型の新工場開設を目前に控えたM社様から、ダイカストマシン用の油圧作動油について以下のようなご相談をいただきました。
- 以前、一般作動油が原因で火災に見舞われた経験があり、安全性の高い作動油を使用したい。
- ただし、水-グリコール系作動油では、過去にマシントラブルが多発したため避けたい。

そこで、火災のリスクを低減し、さらに安定した稼働を支える作動油の提案を求められました。

After(導入後)

私たちは、難燃性かつ環境にやさしいことで定評のあるエステル系油圧作動油をご提案しました。このオイルは火災リスクを大幅に低減するだけでなく、マシントラブルも起こりにくい特長があります。
M社様からはその効果に高い評価をいただき、他の新設マシンにも採用されました。さらに現在では、国内外の複数の工場でこの油圧作動油が導入されています。また、この作動油はCO2フリーで環境配慮の観点からも貢献しており、企業のサステナビリティ向上にも寄与しています。

事例②
金属加工 U工場

工場規模:中規模 業界:金属加工業

難燃性オイルへの切り替えで安全性と効率が向上

背景

U工場では、ダイカスト工程などで一般鉱物油を使用していましたが、過去にぼやが発生したことをきっかけに、難燃性の高い油圧作動油への切り替えを検討されました。切り替えの手間を懸念されていましたが、既存のオイルを抜いて新油を注入するだけの簡単な工程で対応できる点が評価され、導入を決定されました。

効果

- ポンプの作動音が軽減し、静音性が向上。
- オイルのスラッジが減少し、フィルター詰まりが大幅に軽減。
これにより、設備の保守負担が軽減し、稼働率の向上にもつながりました。

副次効果

難燃性オイルを採用したことを消防署に申請した結果、立ち入り検査の頻度が低減。これにより、従業員の負担が減り、作業効率が向上しました。
また、火災保険の適用範囲が広がり、炉が損壊した際も保障される保険に加入できるようになりました。
この保険は、安心感を与えるだけでなく、経営リスクの低減にもつながっています。

まとめ

工場の火災を防止することは従業員の安全を守るだけでなく、企業の信頼を保つためにも極めて重要です。本記事で紹介した火災防止策を実践することで、火災リスクを最小限に抑え、安全で快適な作業環境を実現できます。

私たちは工場の火災を防止するために、現場に即した改善策を提案します。火災リスクに関するお悩みやご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。共に安全な工場づくりを目指しましょう。

北嶋 裕司郎

所属は石油部門。顧客第一主義で、需要家様と一緒に成長していく事を信条に活動中。フットワーク軽くご相談頂けるよう、日々精進しています。

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