水溶性切削油の臭いの問題を
解決する方法とは?

はじめに

水溶性切削油の臭いの問題を解決する方法

水溶性切削油は金属加工の現場で欠かせない存在ですが、一定期間使用していると「臭い」に悩む声が多く聞かれます。この問題を放置すると、労働環境が悪化するだけでなく、生産性や作業者の定着に悪影響を与える可能性もあります。 本記事では、水溶性切削油が発する臭いの原因と、臭いを無くす具体的な対策・方法をご紹介します。マシニングセンターやNC旋盤など工作機械を使っている工場の方は必見です。

こんな現象・問題が起きていませんか?

工場で発生している代表的な臭いの問題を以下にまとめました。

  • 工作機の切削油そのものが臭いを発している(くさい)
  • 工場内全体(床や壁面など)が異臭を感じる
  • 長年働く従業員は慣れてしまっているが、新入社員や求職者には大きなマイナス印象を与える
  • 快適な職場環境を目指す改善が求められている

この臭いの問題は従業員の働きやすさだけでなく、お客様や外部からの評価にも影響を及ぼす可能性があります。快適な労働環境の実現に向けて、その原因や臭いが常態化する背景を掘り下げます。

背景・原因

水溶性切削油の臭いの発生は、以下のような背景が考えられます。

1. 腐敗

水分を含む特性上、細菌やバクテリアが繁殖しやすい環境を作り出します。

2. 機械油や金属片の混入

機械油や切削くずが切削油タンクに混ざり、バクテリアの栄養源となったり、金属由来の特有な臭いを発します。

3. 管理不足

pHや濃度の管理不足が、切削油の性能低下や腐敗を促進します。切削油の交換頻度なども影響します。
現場では清掃や管理に十分な時間を割けないケースが多く、それが臭いの問題を悪化させる一因です。

臭い(臭気)の発生原因に合わせた対策

臭いの発生する原因は様々ありますが、その中でもよくある原因をまとめました。

タンクや機械内部の清掃を徹底

まずは工作機のタンクや機械内部を定期的に清掃し、混入した機械油やそれに由来の乳化層、付着した油膜、不純物や沈殿物を取り除きましょう。定期的な濃度やpH管理も併せて行うことで、バクテリアや菌の増殖を抑え、臭いの発生を防ぐことができます。

  • メリット: 新たな投資は不要でいつでも始められる。
  • デメリット: 機械の数が多い場合は相応の人的コストが発生します。また根本的な解決にはならないので、永続的な負担となります。

② 耐腐敗性の水溶性切削油への切り替え

耐腐敗性の水溶性切削油__

切削油そのものを見直すことは、臭いの問題の劇的で長期的な解決に有効です。近年では、防腐剤を配合した耐腐敗性の高い製品が登場しています。バイオスタティック油剤といわれる抗菌性を持つ界面活性剤が使われ腐りにくいものも普及してきています。

  • 特長: 細菌の繁殖を抑制し、臭いの発生を防ぐ機能を有しています。
  • メリット: 臭いが劇的に改善される可能性が高い
  • 注意点: 切削性能や防錆性能への影響も考慮し、導入前に十分なテストを行うことが重要です。
臭いのひどい機械から始めることをおすすめ
耐腐敗性の高い水溶性切削油に切り替えることで、オイルの耐腐敗性だけではなく切削性能消泡性能防錆洗浄性能など様々な影響を考慮する必要がります。全ての機械に一度に対応するのは現実的ではありません。臭いの目立つ機械から優先的に対策を行い、効果を検証しながら対応を広げていくことで、切削油の性能の差によるリスク面を最小限にすることができます。

③ 抗菌脱臭機の導入

オイルアタッカー画像_

抗菌脱臭機(例:オイルアタッカー)は、簡単な対策として人気の高いソリューションです。タンクに投入するだけで細菌繁殖を抑制する効果が期待できます。投入後にすぐに効果が出るわけでないので、数週間の経過を見ながら評価をしていきます。

  • 特長: 銀イオンやセラミック技術を活用して細菌を予防
  • メリット: 導入が簡単で、機械に負担をかけない
  • コスト: 約16,000円程度~(200Lタンク用)

オイルの性能やワークに影響しないため、段階的に改善を図っていきたい場合は有効な選択肢です。

④ マイクロエマルションタイプ切削油の導入

マイクロエマルションタイプの切削油_

切削油の飛沫が床や壁に付着し、それが腐敗することで異臭が発生している場合もあります。このようなケースには、洗浄性能があり汚れの残りにくいマイクロエマルションタイプの切削油を活用することで抑制しやすくなります。製品の洗浄工程でも有効に作用し、製品の品質や生産効率の向上にも期待がもてます。

  • 特長: 飛沫の付着を防ぎ、清掃負担を軽減(アンチミスト性能)
  • メリット: 洗浄性能が高く、製品の加工後もすぐに落とせる。
  • 用途: 腐敗防止だけでなく、床や壁に付着しにくく臭い対策にも効果的。

⑤ セパレーターの導入

混ざり合った油分や乳化層を分離するセパレーターを活用する方法もあります。

  • 特長: 機械油と水溶性切削油を効率的に分離。
  • メリット: 腐敗を防ぎ、切削油の寿命を延ばす。

例えば「シースルーセパレーター」のような製品は、乳化層の問題を解決しつつ、混入油を回収することでタンクの清浄度を保つことができます。当社ではデモ機をお貸しすることも可能です。

まとめ・アドバイス

水溶性切削油の臭い問題は、工場の環境改善だけでなく、従業員の安全や快適さ、さらには製品の品質にも影響を及ぼします。 適切な対策を講じることで、労働環境の改善はもちろん、企業としての信頼性向上にもつながります。私たちはこうした問題を解決するためのソリューションを多数ご提案できます。ぜひお気軽にご相談ください。

ガロプロ
木村 洋平

所属は石油部門。工業用潤滑油のスペシャリストとして工場の困りごとに寄り添い、顧客から信頼を寄せられている。石油製品のことなら潤滑油に限らずご相談ください。

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