はじめに
燃料費削減やCO2削減を目指す多くの工場で再生重油に注目が集まっています。再生重油は「安価な代替燃料」としてはもちろん、2022年に行われた省エネ法の改正によって廃棄物からリサイクルされた燃料(廃棄物原燃料)に区分されることとなり「実質CO2排出量ゼロ」としてみなされるようになりました。この記事では、再生重油を導入する際の販売業者選びに役立つポイントを紹介します。
燃料としての廃棄物の利用 | CO2排出量の計上先 (基礎排出量) |
調整後排出量における扱い |
---|---|---|
燃料としての廃棄物の利用 | エネ起CO2 | 計上不要 |
廃棄物由来の燃料(RPF、RDF等)の使用 | ||
熱回収を伴う廃棄物の焼却 | 非エネ起CO2 | 計上不要 |
廃棄物の単純焼却 | 計上必要 |
再生重油の導入(販売業者選び)に、こんな不安や要望はありませんか?
- 水分が少ない再生重油を使いたい。
- スス(灰分)が少なく、機械に優しいものが良い。
- 塩素や硫黄の含有量が少ない再生重油が安心。
- 設備にダメージを与えず、長期間使えるものが理想。
再生重油を使うことでコスト削減やCO2排出量削減が期待できますが、その一方で「品質も大切にしたい」と考える方も多いはずです。「安かろう悪かろう」ではなく、「価格と品質のバランス」が重要です。さらに、設備に悪影響を及ぼさない、壊れないことが前提となるため、次のような要望や不安を抱える方も多いでしょう。
- 水分が少ない再生重油が欲しい。
- スス(灰分)が少ない方が良い。
- 塩素分や硫黄分の含有量が少ない方が安心。
- 設備にダメージを与えず、長期間安定して使えるものが欲しい。
次の項目ではそれに応える再生重油導入のポイントを整理します。
再生重油購入(販売業者選び)のポイント
再生重油を選ぶ際、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。特に品質や供給の安定性、販売業者の信頼性が大事となります。
水分
燃料中の水分は、焼成炉の効率低下の原因になる他、遊離水がある場合はバーナーの機械的トラブルや失火を引き起こす恐れがある。また、タンクや装置の腐食の原因となることがある。燃料に水分が存在すると、熱いノズルチップに水の蒸気が急激に触れ、バーナーノズルを傷めることがある。さらに、バーナー内の過度の水分は火炎消滅の原因となることもある。
灰分
燃料中の灰分は、摩耗や詰まりには影響しないが、燃焼時にボイラー加熱管表面に付着し、炉の熱効率を低下させる。また、過度の灰分があるとばいじんが増加する恐れがある。
重油JISは、1種のA重油が0.05質量%以下、3種のC重油が0.1質量%以下であるが、一般的な再生重油の灰分は0.5質量%程度ある。
塩素分
塩素系使用済み潤滑油を不適切に燃焼させると、ダイオキシン等の有害物質の発生原因となったり、塩酸を生成して炉を傷めることが考えられる。
再生重油JIS規格の1種の再生重油が0.05質量%以下、2種の再生重油が0.1質量%以下である。
硫黄分
硫黄分は燃焼すると二酸化硫黄(SO2)となり、大気汚染や酸性雨の原因となるため、大気汚染防止の見地から、燃料油としては硫黄分の少ないものが求められる。また、燃焼により生成した二酸化硫黄の一部は無水硫酸(SO3)になるが、これは煙道ガスの露点以下の温度では水分と反応して硫酸(H2SO4)が生成し、熱交換器の金属部を腐食させる。再生重油の市販品の硫黄分は、ほとんどが0.3~0.5質量%である。
重油JISは、1種のLSA重油が0.5質量%、一般A重油が2.0質量%、3種のC重油は3.5%質量%以下となっており、再生重油の硫黄分は一般A重油より低く、環境に配慮した燃料と言える。
品質・性能
再生重油の品質を評価する上で、総発熱量も重要な指標です。また、塩素分や硫黄分の含有量も確認すべきポイントです。これらが低いほど、環境への影響が少なく、機械への負荷も減ります。
供給・安定性
再生重油はそもそも安定供給が難しい商品です。長期的に見れば、廃油の仕入先に関する品質基準やそうした仕入先を確保している販売業者を選ぶことが、安定的な供給を受けるカギとなります。例えば、ニイミ産業はその規模と基盤により、原料となる廃油の確保に努めており安定した供給体制の構築に取り組んでいます。
品質の参考数値
再生重油を選ぶ際、以下の主要な指標に注目しましょう。
- 灰分:1.0%以下
- 硫黄分:1.0%以下
- 水分:5.0%以下
- 発熱量:41.8メガジュール以上
JIS規格も参考なります。
項目 | 単位 | 1種 | 2種 |
---|---|---|---|
引火点 | ℃ | 70以上 | 70以上 |
動粘度 | 50℃ mm2/s | 70以下 | 50以下 |
流動点 | ℃ | -10以下 | -10以下 |
灰分 | 質量分率% | 1.0以下 | 1.0以下 |
硫黄分 | 質量分率% | 0.6以下 | 1.0以下 |
塩素分 | 質量分率% | 0.05以下 | 0.1以下 |
水分 | 質量分率% | 1.0以下 | 5.0以下 |
総発熱量 | MJ/kg | 41.8以上 | 41.8以上 |
再生重油の品質については、JIS K 2170で規定されています。
ニイミ産業の再生重油スペック例
ニイミ産業が提供する再生重油のスペックの一例を以下に示します。
- 灰分:0.36%
- 硫黄分:0.36%
- 水分:0.16%
- 発熱量:44.9メガジュール
ニイミ産業の再生重油は、カタログスペック以外にも以下のような品質管理に力を入れています。
- 質の良いエンジンオイル由来の廃油を仕入れており、安定した燃焼性能を提供。
- 塩素を含まない原料を優先的に仕入れ、設備への影響を最小限に。
- 水溶性や溶剤など再生重油に不向きな材料が混ざらないよう、仕入れ業者と協力。
- サンプル分析を通じて品質管理を徹底。
- タンク内のスラッジ(沈殿物)清掃や、アフターフォローも行っており、長期間の使用をサポート。
- 専用部門が廃油を管理し、供給の安定化を目指している。
再生重油製造プロセス
再生重油は次のようなプロセスを経て製造します。(ニイミ産業にて製造・販売される再生重油の場合)
導入事例
再生重油は、ガラス製造、石灰製造、アルミ精練、鍛造など、さまざまな業種で導入されています。大手から中小規模の工場まで広く利用され、コスト削減と環境負荷低減の両方で高い評価を受けています。
まとめ&アドバイス
事例集・お役立ち情報・相談窓口
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対応エリア
東海三県(愛知県・岐阜県・三重県)を中心に滋賀県東部、静岡県西部など近隣エリアをカバー。各地域に拠点を構え、途切れることのないガス供給網を構築しています。

2022年に行われた省エネ法の改正に伴い「実質CO2排出量ゼロ」として扱われることになったことで今後ますます活用が盛んになるはずです。
しかし、コスト削減だけにとらわれず、品質や供給の安定性を見極めることが大切です。単に安さだけに注目せず、高品質な再生重油を選ぶことで、長期的なコスト削減効果と持続的な設備運用が可能となります。
この記事を参考に、信頼できる再生重油及び販売業者を選び、より効率的な工場経営を実現してください。ご不明な点やご質問があれば、私たちまでお気軽にお問い合わせください。
木村 洋平
所属は石油部門。工業用潤滑油のスペシャリストとして工場の困りごとに寄り添い、顧客から信頼を寄せられている。石油製品のことなら潤滑油に限らずご相談ください。