はじめに
ガス流量計は、工場内でのガスの消費量を測定するための重要な機器です。特に中規模の工場では、経営的な観点から効率的な監視と管理が求められます。ガス流量のデータ化は、補助金申請、日々の保守管理、省人化、人件費削減など多くの面で重要な役割を果たします。本記事では、ガス流量計のデータ化方法について具体的な手順とメリットを詳しく解説します。
課題
中堅規模の工場が直面する主な課題は次のとおりです。
- 日々の設備保守管理における正確な記録
- メーターの目視確認作業を減らしたい、あるいは廃止したい
- 人的エラーへの不安
- 経費削減のための現状把握
- 補助金の申請に必要なガス流量データの収集
データ化の必要性とメリット
データ化が中堅規模工場にもたらす具体的なメリットを紹介します。
燃料消費のロスが多い機器の特定
データを比較することでロスが多い設備を特定できます。特にロスが多い設備を優先的に対処することで省エネ施策の効果・効率を最大化します。
トラブル予測や保全
データを活用して重大なトラブルを予測し、保全機能の強化し、機器の寿命を延ばすことにも貢献します。通常時の使用量データを把握することにより、同じ製造量なのに、通常よりもかなり多い使用を把握することなどにより機器の異常に早く気づくことができます。また経年劣化により同じ使用量であっても昇温に時間がかかるようになっていることを把握することで、メンテナンスや設備の更新の検討がいち早く判断できるようになります。
人件費削減
自動化によってメーター目視確認の必要がなくなり、人件費を削減できます。
省エネの実現と効果の検証
省エネ対策の比較検討や効果検証が容易になります。
エビデンス(裏付けデータ)の提供
価格交渉や補助金申請時に信頼性の高いデータを提供できます。
データ化の具体的な方法
流量計のデータ化方法には、大がかりな工場管理システムなどを導入する方法も考えられますが、ここではガス流量計を活用した方法をご紹介します。どのような規模の工場でも比較的実行しやすい方法ですが、条件次第で対応方法は変わるため下記を参考にしてください。
その1:既存の取り付け済みアナログメーターを活用する方法
1. データ発信機能がある場合
既存のアナログメーターにデータ発信機能がある場合、データベースに収集が可能です。(いくら信号化されていても対応できない仕様のメーターものもあるので注意が必要)
特にガスメーターの場合はパルスを5ビット電文で信号化することが多く、これに対応したものが既存製品として出回っています。また、4-20mAに変換して通信することも可能です。
2. データ発信機能がない場合
▼アナログメーターを画像認識して利用
アナログメーター(タコメーター)の針を画像認識してデジタルデータに変換する方法があります。以前は、ガスメーターなどの数字が回るタイプでは、数字と数字の中間での認識に問題がありましたが、AI技術の進化により、読み取りエラーが減少し実用化が進んでいます。
▼デジタルモニターを画像認識して利用
デジタルモニターを画像認識してデータ化します。針のような曖昧さがなく高精度なデータが取得可能です。
その2:新規で流量計を取り付ける方法
新規で流量計を取り付ける場合は、データを発信可能な機能が付いた機器を取り付けることで、データの収集の準備が整います。
導入事例
実際に流量計データをデジタル化し、データ活用に成功した工場の事例を紹介します。導入前後の比較や成功のポイント、直面した課題などを詳しく紹介し、流量計のデータ化の実際の効果を参考にされてみてください。
事例1: 燃料消費を大幅に削減した事例
ある食品工場では、いろいろなガス消費機器を使っていましたが、機器の銘板にある仕様を確認したところ、最も燃料消費の多い設備はボイラーでした。ボイラーを始め消費の多い機器については、ガスメーターを設置し、消費量がわかるようにしました。
次にボイラー自体の点検をしたところ、全く性能に問題はなかったのですが、ボイラーで作り出した蒸気を工場内に蒸気配管で送り、各エリアで食品の製造や器具の洗浄等に使用していました。蒸気配管を追っていくと、スチームトラップが経年劣化して末端で漏れていたり、保温配管が痛んで蒸気配管が剥き出しになっている箇所が何箇所も見られました。まずはかなりの数のスチームトラップを新品に取り替えました。一定期間の間チェックすると、これだけで数%改善しました。
次に配管の保温を修理し、剥き出しのバルブにカバーをかけて無駄な熱の放出をなくすと3%程度の改善が見られました。削減度合いは少ないですが、ガスを大量に使うボイラーでは、月に10万以上のコスト削減が実現しました。
また、この活動をすることで現場のスタッフに無駄をなくすということの大切さがわかり、他の部分でも無駄を削減する考え方が定着しました。
よくある質問
- データ化にはどのくらいの初期コストがかかりますか?
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導入するシステムや設備によりますが、初期コストは設備の種類や数に依存します。配管に接続するタービンメーターなどは数万程度で設置することが可能です。 最初の段階は、なるべく狭い部分に留めて計測とデータ化を行い、費用対効果をしっかり判断した上でより大きい投資に向かうべきでしょう。
- 既存のアナログメーターをそのまま使うことはできますか?
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はい、データ発信機能がないアナログメーターでも画像認識技術やデジタルモニターを使用してデジタル化が可能です。
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