アルミダイカスト業の製造・鋳造・設備責任者の方で、こんなお悩みお持ちではないですか?
こんなお悩みありませんか?
- 燃料費が高い…
- 省エネしたい…
- 顧客や身内から省エネやCO2削減策を求められている…
対策をしたい、、でも、、
- 何から手をつけていいかわからない…
- 知識がない(選択肢が不透明)…
- 決め手がない…
- そもそも省エネなんて本当に可能なのか、疑問や不信感がある…
そんなさまざまな課題や悩みをお持ちの方も多いことかと思います。そして、その具体的な対策や手段・対策を知らないことで、省エネの実行・実現に移せずご苦労されている方も多いのではないでしょうか。この記事では、アルミ溶解炉の燃料消費を削減するための実践的な方法をご紹介します。
これで完璧!アルミ溶解炉の燃料消費を削減する
具体的な「4つの方法」
①炉の修理 古い溶解炉では熱漏れが発生しています。修理を行い、熱損失を軽減させます。
②燃焼調整及びメンテナンス ガスライン・エアーライン・バーナー・調整器などをメンテナンスし空燃比率を最適化します。
③廃熱利用 溶解炉では高温の排熱が発生しており、無駄の大きな原因になっています。これを再利用します。
④設備更新 連続炉、丸炉、双子炉、リジェネ炉などの中から自社に適した炉の採用を検討します。
次はこれらの燃料消費削減方法を具体的に紹介していきます。
①炉の修理
炉の導入から15~20年ほど設備更新をせずに使っている、という工場も少なくありません。こうした炉では断熱材・耐火煉瓦・鉄板などが劣化し断熱効率が悪くなっていることがあります。
劣化した個所から熱が漏れている場合は、ふさぐ必要があります。具体的には断熱材や耐火煉瓦などを交換し、隙間もしっかりふさいで断熱します。それにより、熱効率を改善することが可能です。
②燃焼調整及びメンテナンス
溶解炉のバーナーの燃焼における「空燃比率」を最適化
空燃比率とは空気とガスの混合比率のことで、この比率を最適化することで3~5%程度の省エネ効果が期待できます。ダイカスト業の燃焼設備では、安全性の観点から理論値の1.8倍もの過剰な空気比が設定されているケースがあり、本来燃焼に必要ではない空気まで加温することになり、無駄に燃料を消費しています。
「空燃比率」を最適化する方法
ここで大事なのは「空燃比率」を調整するには溶解炉のバーナーだけでなく、そこに関連するガスライン・エアライン・調整器(ガスの圧力調整する装置)など、燃焼に関係するプロセス全体をメンテナンスし、狙った比率に調整することです。
まず、ガスライン・エアラインに漏れや詰まりがないか確認します。溶解炉が長年メンテナンスされず放置されている場合、ガスの流量に影響をあたえ、燃焼が適切に行われなくなっているケースもあります。
そして、バーナーのメンテナンスを行います。バーナーにはススがたまるため、適切に分解し、丁寧に清掃します。(機械設備に詳しい担当者・専門家の立ち合いのもと)
もう一つ忘れがちなのが、調整機(ガスの圧力調整する装置)です。ストレーナー(調整機の上の網目)に不純物が詰まったり堆積しているケースがあります。
優先度や順番は工場ごとの環境・状況により異なりますが、それらを最適に調整することで、空燃比率を適切な割合にし、限られた費用の中で高い省エネ効果を得ることができます。
③廃熱利用
インゴットをあらかじめ予熱する仕組み
アルミインゴットを燃焼炉に投入する際、湯温(溶けた原料の温度)が下がるため余計な燃料を消費します。主に連続溶解炉を使用している場合、その対策として600~800度近い廃熱を利用します。廃熱を利用しインゴットをあらかじめ予熱しておくことで、省エネ効果が期待できます。設備の改修や場合によっては投入機の導入などは必要ですが、炉体更新をせず一定の省エネ効果を期待することができます。
リジェネバーナーの導入
リジェネバーナーとは2個のバーナーを用い燃焼と排気を交互に行う仕組みです。一方が燃焼中、もう一方は高温の排ガスで蓄熱体の温度を上昇させます。そして、そのバーナーが燃焼するときは、高温の蓄熱体を通すことで燃焼用の新鮮な空気を予熱します。これにより燃焼用空気温が上昇し、燃料を約50%節約できるといわれています。ただし、部分改修は不可能なため、設備全体のリプレイスと同義となり慎重な検討が必要です。
④設備更新
工業炉の導入は、高額な投資と設置スペースの確保、既存設備の一時停止といった課題を伴います。選択肢も多く、失敗が許されない頭の痛い問題です。また、各設備会社が提案する省エネ効果の信ぴょう性や、導入後の運用に対する不安が決断を難しくしています。そこで、省エネ実現の視点で設備更新における選択肢をまとめました。
連続炉
生産量・品質を重視する場合、連続炉を導入することで安定した溶湯を維持でき品質の安定化を実現できます。ただし、
製品が最新のものであっても廃熱利用が難しく省エネにおいて比較的に期待は出来ません。
丸炉(旧式)
一般的な溶解炉。出湯量が連続炉より少ないケースが多くインゴット投入も手作業になるため、生産効率が下がります。省エネにおいて優位点はありません。
設備変更において、いわゆる従来の丸炉に変更するメリットは少ないと言えるでしょう。
比較的に省スペースとなることや設備自体が低コストなどの面から、小規模な新規工場での採用、生産量の削減当の際検討の余地はあるかもしれません。
ただ、同じ丸炉でも後述する双子炉リジェネ炉はこの丸炉の生産効率省エネ性能面でのデメリットを補う性能があります。
双子炉
2つの丸炉が回転テーブルに設置され、原料の投入時に湯温が上がるまでのロスを、交互に切り替えながら補うことで生産効率を高めます。また出湯量や湯温の安定も連続溶解炉に近い能力があります。
後述のリジェネ炉にする事で省エネ効果も大きく期待できる事から、連続炉から2台のリジェネ炉を双子炉として運用するこも検討してもいいかもしれません。 フラックス処理など管理面の利点も大きく貢献できる可能性があります。 この際注意するのは、連続炉と湯汲の位置が変わる点です。るつぼの中心がマシンから離れる方向にずれるので、ラドルのアームの調整などダイカストマシンメーカーも含め十分な検討が必要な点です。 また、丸炉2台が回転するスペースが必要なので、工場レイアウトによっては導入が難しい点も注意が必要です。
運用面の検討も必要で、リジェネ炉などの丸炉のインゴット投入の自動化はあまり進んでいません。一方連続炉の自動投入は一般的になっています。
リジェネ炉
2個のバーナーを用い、燃焼と排気を交互に行うリジェネシステムを有した丸炉です。一方のバーナーが燃焼中、もう一方のバーナーは高温の排ガスで蓄熱体の温度を上昇させます。逆に燃焼に転じる際は、予熱された蓄熱体を通して供給される新鮮な空気を予熱します。これにより燃焼用空気が炉内温度近くまで上昇し、燃料を約50%節約できると言われています。燃料コストが他の溶解炉にくらべて大幅に削減できるため、大きな省エネ効果を期待できます。双子炉に対して応用もできます。導入コストは一般的な丸炉とくらべると上がりますが、補助金利用する事で丸炉より安価になるケースもあります。デメリットしては、設備のサイズが丸炉に比べ1~2割ほど大きくなるためその点は検討が必要です。
設備更新にあたって、他にも考慮したいこと
補助金の活用
2024年2月現在、省エネ性能の高い設備への更新のコストの1/3が補助されまする補助金もあります。設備更新に際しては補助金にも精通したパートナーに試算を任せることから、検討を始めてもいいかもしれません。ただし、補助金ありきではなく、あくまで省エネ効果を含む設備の機能や業者のサービス内容を前提に検討してください。
運用への不安の対処
設備タイプが変わると、運用の方法に変更を求められるケースもあります。そうした不安がある場合は、工場の個別の状況を踏まえた導入サポートやアフターフォローの質で導入業者を決定しましょう。ただ、設備を切り替えるだけでなく、燃焼調整も含めた燃焼プロセス全体の最適化や継続的なメンテナンスをすることで、より長期的で大きな省エネが期待できます。そうしたアフターフォローができる会社を選ぶことが予期しないトラブルへの対処も含めた、省エネ重視の運用体制の確立することにつながります。
導入費用をコストと考えるか、投資と考えるか
ネックになるのはやはりイニシャルコスト。ただ、高額な価格を理由に、老朽化した設備をメンテし使用し続けても、延命効果はあっても省エネ効果は期待できません。廃熱利用の方法を検討したり(大規模な設備回収は必要)、リジェネ炉の導入を検討することもお勧めです。リジェネ炉だと燃料の5割削減も可能で、補助金を利用する事で通常の丸炉とほぼ同じ価格帯でイニシャルコストも限定的。条件によっては2~3年で十分に早期の回収が可能です。
まとめ&ガロプロからアドバイス
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この記事をご覧いただいた方が、とくに丸炉の場合は熱漏れが疑われる個所がないか確認し修理を試みましょう。並行して、正常かつ適切な空燃比率で燃焼が行われているか検証しましょう。省エネ効果を5%程度期待できます。大きく改善するなら省エネタイプの炉に更新するのがおススメです。導入に向けた調査・サポートはもちろん、定期的なメンテや改善をすることで高い省エネ効果を維持したまま、長期にわたって高効率な生産体制を実現出来きるはずです。
後藤 成人
多くのアルミダイカスト工場を担当。省エネ効果の高いリジェネ炉の導入支援も得意領域。元損保の損害調査員で、事後対応の仕事に疑問を感じ、本当に人の役に立てる仕事をしたいと思い現職。