水グリコールの問題点と解決策。
機械設備の故障を防ぐ方法とは?

火災対策のために導入した「水グリ」が、逆に設備の故障を引き起こしている!?

水グリコールの問題点を表現したグラフィック

工場の火災対策として「-グリコール系作動液(以下、水グリ)」を採用している企業は少なくありません。しかし、水グリには設備のパッキンやポンプ・バルブの腐食リスクや、スラッジが原因の不具合など、様々な機械トラブルを引き起こすリスクが存在します。

「火災対策のために導入したのに、今度は設備の不具合が増えてしまった」と悩む企業も多いのが実情です。本記事では、水グリの問題点と、その解決策として「エステル系難燃性オイル」や「省エネ型高性能オイル」の活用について詳しく解説します。

水グリコール系作動液のデメリットとは?

「水グリで火災は防げても、設備トラブルが増えてしまった

水グリは鉱物油に比べて引火しにくく、火災リスクを低減できる点がメリットです。しかし、その一方で、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

設備の腐食が進みやすい

水グリは水を含むため、設備の金属部分が錆びやすくなります。さらに、適切な管理ができずpHバランスが変化すると腐食が加速し、ポンプやパッキンの寿命が短くなることもあります。

次のような具体的なトラブルの事例があります。

  • ポンプの寿命が大幅に短縮(冬場の粘性変化の影響もあり)。利用者の体感で寿命が半分程度になったケース
  • パッキンやバルブの腐食が進み、頻繁な交換が必要となったケース
  • バルブ・弁にスラッジが蓄積し、動作不良を引き起こすケース

管理が大変で、適切にできていないケースが多い

水グリの適正な使用にはpH調整や水分管理が必要ですが、工場現場では「適切な管理が行き届いていない」ケースが多く見受けられます。その結果、機械の劣化を早めてしまう原因となっています。

水グリの問題から機械設備を守る方法
「難燃性オイルの導入」

「火災対策だけでなく、設備の寿命も延ばす方法とは?」

水グリの代替として有力なのが、「エステル系難燃性オイル」や「省エネ型高性能オイル」です。これらのオイルは火災リスクを低減しつつ、設備の耐久性やメンテナンスの負担を軽減できます。

【対策1】エステル系難燃性オイル

「水グリのデメリットを解決しつつ、火災リスクも抑える!」

エステル系難燃性オイルは、水グリよりも潤滑性が高く、機械の摩耗を抑えながら火災リスクも低減できるという特長があります。

エステル系難燃性オイルのメリット:

  • 火災リスクを低減(高引火点)
  • 潤滑性が高く、ポンプやバルブの寿命が延びる
  • pH管理が不要で、腐食リスクが大幅に低減
  • 植物由来のエステル系オイルならCO₂排出削減にも貢献

導入事例:

  • 水グリを使用していた工場でポンプ寿命が2倍に向上した事例
  • ルブ詰まりが解消され、メンテナンス頻度が半減した工場

「難燃性油圧作動油」のメリットや、具体事例を紹介していますので、以下の記事も参考にしてください。

【対策2】合成油タイプの「省エネ型高性能オイル」

「燃えにくいだけじゃない!電気代削減&設備寿命アップ」

もう一つの選択肢として、合成油タイプの省エネ型高性能オイルがあります。これは水グリよりも錆びが生じにくく、低温始動性に優れ、省エネ効果も期待できるオイルです。

難燃性油圧作動油のメリット:

  • 250℃以上の引火点で、火災リスクを低減
  • 潤滑性が向上し、異音・振動の発生を抑える
  • 低温でも粘度が安定し、冬場のポンプの負荷が軽減
  • 電力消費が削減できるため、省エネ効果も期待

導入事例:

  • 冬場における粘度変化によるポンプの不具合が解消した事例
  • 生産ラインの稼働率が向上し、トラブル件数が30%削減

「省エネ型高性能オイル」のメリットや、具体事例を紹介していますので、以下の記事も参考にしてください。

「難燃性オイル」で意外なメリットも!

難燃性オイルは、火災抑制への期待に加え、法規制の面でもメリットがあります。
特定の難燃性オイルや省エネ型高性能オイルでは引火点が250℃以上と高く、条例上の規制に該当しないケースもあります
そのため、危険物保管に関する手続きが不要となる場合があり、管理上の効率を高めることが出来る可能性があります。

高引火点油による規制緩和

分類 容量 規制区分 規制内容
第四石油類(危険物) 6,000L以上 危険物設備 消防法により規制、市町村長の許可が必要
第四石油類(危険物) 1,200L以上 少量危険物設備 条例により規制、消防署へ届出
第四石油類(危険物) 1,200L未満 規制なし -
可燃性液体類(指定可燃物) 2,000L以上 非危険物設備 条例により規制、消防署へ届出
可燃性液体類(指定可燃物) 2,000L未満 規制なし -

緩和の内容

  • 取扱数量制限の緩和
  • 防災・消火設備の設置が不要(新設時)
  • 工事時の消防署の許可が不要
※ 地域により細かなルールが異なるため、詳細は消防署に確認してください。

事例紹介

実際の現場で水グリ使用からエステル系難燃性オイルに切り替えた事例をご紹介。効果やメリットを確認していただき導入の参考にしてみてください。

事例①
自動車部品製造 S工場

業界:自動車部品製造・ダイキャスト業


寒冷地での水グリ使用がトラブルの原因に

S工場では、火災対策として水-グリコール系作動液(水グリ)を使用していました。しかし、冬場に粘性が上がることでポンプの負荷が増加し、頻繁にトラブルが発生。さらに、水グリ特有の水分によって設備の錆が進行し、メンテナンスコストが増大化していました。

エステル系難燃性オイルへの切り替え

火災リスクを抑えつつ、設備トラブルを減らすためにエステル系難燃性オイルを導入。これにより、潤滑性の向上、腐食リスクの低減、管理の簡素化が実現しました。

導入後の改善点
  • ポンプトラブルが減少し、設備の安定稼働を確保
  • 錆・腐食の発生が抑えられ、メンテナンス負担が軽減
  • 水グリ特有の管理が不要になり、労働負荷が削減
  • ダイキャスト射出スピードが安定し、生産効率が向上

その後、S社では新規導入するマシンにもエステル系難燃性オイルを採用し、より安定した生産環境を実現しています。

まとめ

「火災対策」と「設備寿命の延長」を両立するオイル選びを

水グリは火災対策としては有効ですが、設備の腐食や故障リスクを高めるデメリットもあります。もし「水グリの管理が大変」「設備の不具合が増えた」と感じているなら、エステル系難燃性オイル省エネ型高性能オイルへの切り替えを検討してみましょう。

こんな工場におすすめです

  • 水グリの管理が難しく、機械トラブルが頻発している
  • ポンプやバルブの寿命を延ばしたい
  • 火災リスクを抑えつつ、生産効率も向上させたい

難燃性オイルの選定・導入については、専門性や実績を持ち工場の現場や経営の視点を持った事業者を選定するように心がけましょう。ニイミ産業では高性能なフラッシングオイルを活用するなど、安心で効率的なオイルの変更のサポートが可能です。

興味をお持ちでしたらお気軽にご相談ください。

北嶋 裕司郎

所属は石油部門。顧客第一主義で、需要家様と一緒に成長していく事を信条に活動中。フットワーク軽くご相談頂けるよう、日々精進しています。

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