刃具の寿命を延長することは、工場の効率化やコスト削減に直接つながります。本記事では、切削油を見直すことで刃具寿命を延長する方法について、事例や効果を交えながらわかりやすくご紹介します。
加工現場では、刃具がすぐに摩耗したり交換が必要になったりする課題がよく見られます。刃具寿命を延長するためには、こうした問題に対応する適切な対策が欠かせません。本記事では特に切削油の選定がどのように解決に役立つかを解説していきます。
刃具の寿命にこんな悩みはありませんか
- 工作機の効率を高めたい
- 刃具の交換頻度を減らしたい
- 面精度を高めたい
もしこれらの悩みを抱えているなら、切削油の見直しが解決への第一歩です。多くの場合、刃具の摩耗や不具合は適切な切削油を使用することで改善が可能です。
切削油に着目する理由
刃具の寿命を延ばすための選択肢として切削油にも注目してください。
切削油の種類によっては、材料との摩擦や熱による刃具の摩耗を減らし加工した表面の品質を向上させることで刃具寿命の延長に大きく貢献します。もちろん、刃具の材質や形状を見直したり、回転数や送り速度を調整したりする方法もありますが、それらによる改善にも限界があります。
刃具の寿命延命に熱心な工場でも、様々な理由から切削油の見直しまで行っていない場合もあるため、課題に応じた適切な切削油を選ぶことが非常に効果的な対策となります。
「難削材用水溶性重切削油」とは
難削材用水溶性重切削油は、刃具の寿命を延長するために作られた特別な製品です。これにより、加工現場でよくある課題を効率的に解決することが期待できます。以下は難削材用水溶性重切削油の特徴です。
- 潤滑性能が高い
- 冷却性能が高い
- 微細な加工にも適応可能なマイクロエマルジョンタイプ
難削材用水溶性重切削油はステンレスやチタンなどの難削材加工に最適であり、以下のような特長も持っています。
- 潤滑性と冷却性を兼ね備えた優れた性能
- 鉱物油を含まない環境配慮型の設計
- 塩素系添加剤を使用しない高耐腐食性
対応する難削材
難削材を加工する際には、高い加工難度を伴うため、適切な切削油の使用が不可欠です。以下のような対応可能な材料があります。
- ステンレス
- チタン
- インコネル
- 高硬度鋼
- 耐熱合金 ほか
実際に導入した事例
実際の現場で切削油を導入した事例を通じて、その効果やメリットを具体的に確認できます。以下に、自動車分野や航空機分野での活用例を紹介します。

事例①
自動車分野
▼加工データ
- 製造製品: コンプレッサインペラ
- 材質: 64チタン
- 加工機: NC旋盤
- 刃具材質: 超硬
▼結果
工具寿命1.5倍延長、加工表面粗さの改善
工具 | 従来油 | 難削材用水溶性重切削油 |
---|---|---|
バイト | 200ヶ/バイト → | 300ヶ/バイト |
従来油から難削材用水溶性重切削油に変更することで刃具寿命が1.5倍に伸び、加工表面の粗さが改善。

事例②
自動車分野
▼加工データ
- 製造製品: コンプレッサインペラ
- 材質: インコネル.SUS430
- 加工機: NC旋盤
- 使用油種: 特殊水溶性切削油
▼結果
工具寿命約30%延長、加工精度の向上
工具 | 従来油 | 難削材用水溶性重切削油 |
---|---|---|
外形旋削バイト | 240ヶ/バイト → | 300ヶ/バイト |
内径旋削バイト | 150ヶ/バイト → | 200ヶ/バイト |
カーボン分散系の従来油から難削材用水溶性重切削油に変更することで刃具寿命が30%伸び、加工表面の粗さが改善。
まとめ
事例集・お役立ち情報・相談窓口
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資料ダウンロード
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社内でご検討用にメンテナンスの流れや実績などをまとめた資料をPDFでご用意しています。無料でご覧にいただけますのでダウンロードしてご活用ください。
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お問い合わせ・ご相談はこちら
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お電話でのお問い合わせもお気軽にどうぞ。専門知識をもった担当スタッフが丁寧にお応えいたします。ご希望の場合はご訪問でのご説明も可能です。
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対応エリア
東海三県(愛知県・岐阜県・三重県)を中心に滋賀県東部、静岡県西部など近隣エリアをカバー。各地域に拠点を構え、途切れることのないガス供給網を構築しています。

刃具寿命を延長するためには、適切な切削油の選定が欠かせません。本記事で紹介した難削材用水溶性切削油を導入することで、作業効率や品質の向上が期待できます。特に、ステンレスやチタンといった難削材を扱う現場では、その効果が顕著に表れます。
私たちは工場現場と切削油をはじめとしたオイルのプロとして、工場や設備が抱える固有の課題に寄り添い、最適な解決策を提案する姿勢を大切にしています。生産性向上とコスト削減を同時に実現するために、今一度切削油の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。適切な選択が、貴社の現場改善に大きく貢献するでしょう。
木村 洋平
所属は石油部門。工業用潤滑油のスペシャリストとして工場の困りごとに寄り添い、顧客から信頼を寄せられている。石油製品のことなら潤滑油に限らずご相談ください。