乾燥炉の温度管理に対して、こんなお悩みや要望はありませんか?
塗装乾燥・熱処理業などの製品や原料を乾燥させるための乾燥炉において、炉内の温度管理を適切に行うことは非常に重要です。製品や炉の特性を踏まえた適切な温度管理を行うことで、製品の品質と生産の効率を向上させることが可能です。
この記事では以下のような目的と要望をお持ちの方に役立つ情報を掲載していますので参考にしてください。
こんなことで悩んでいる、、、
- 乾燥炉内の場所によって仕上がり具合が違う…
- 不良品が発生する…
- 昇温スピードの把握方法がわからず、手探りで立上時間を調整している…
- 連続炉で部分的にはうまくいくが、全体の均一性が保てない…
- どうしようもないと考え、解決を諦めている。または、現状に疑問を持っていない…
本当はこうしたい、、、
- 製品品質を安定させたい
- 生産時間を安定させたい
- 炉内の温度を均一にしたい
- 昇温の精度と時間を向上させたい
- 省エネ・改善したい
温度管理は製品品質や生産効率の向上に直結する、最重要な要素です
温度管理は製品の品質に直結します。品質を維持するためには、適切な温度管理が不可欠と言えますが、多くの工場で何から手を付けていいかが解らず、その問題が放置されているのも事実です。
次の項目ではそれらを解決するためのアプローチから具体的な解決事例までわかりやすく説明いたします。
まずは、温度分布・風速の測定をする
効果的な温度管理を行うには、まず炉内の温度分布を詳細に測定し、問題の原因を特定する必要があります。以下に具体的なアプローチ方法を紹介します。
熱電対(温度センサー)による温度測定
熱電対を複数箇所に設置し、炉全体の温度分布を正確かつ網羅的に把握します。
データロガーでリアルタイム測定
耐熱仕様のデータロガーで炉内温度測定。
耐熱データロガーをワークと一緒に焼付炉内に流して実温度を計測します。
(矢印で刺したものが耐熱データロガー)
サーモグラフィで炉内温度を確認
炉内温度を赤外線サーモグラフィを使用し測定します。(サーモグラフィで測定することで、熱漏れなども確認が出来、省エネ対策にも有効です。)
風速測定
温度分布の悪さの原因として熱風を送り出す風速に異常がある可能性があります。
炉のタイプごとのチェックポイント
連続タイプ乾燥炉の場合
連続タイプの乾燥炉のチェックポイント。
● 入口から出口までの経路が長いため、温度分布が把握しづらい。
● 熱電対が多い炉でも一般的に3つ程度で、熱電対を設置しているところは測定できるが、設置していない上下・左右・奥行方向で熱分布にムラが起きているケースもある。
バッチタイプ乾燥炉の場合
バッチタイプの乾燥炉のチェックポイント。
● 炉内の温度分布の把握:バッチタイプの乾燥炉も場所によって温度が異なるため、既存の熱電対だけでは全体の温度分布が正確に把握できない。天井付近と床付近の温度差、四隅など風が回りにくいエリアの温度などを確認します。
特定した問題を解決する
温度分布の測定や、風速の測定などを行い問題の箇所を特定出来たら、改善を図っていきます。
ただし、設備のスペック・仕様や状態によって、解決の方法も異なり制約も多いため、よくあるケースにしぼって説明します。
以前は問題なく運転できていたのに、最近できなくなった場合
バーナーに問題がある場合の対策
ガスの燃焼が不十分で温度が上がらなくなっている可能性があります。空燃比のバランスの悪化など異常がある場合もメンテナンスすることで改善が見込まれます。
→バーナーメンテナンスを実施します。
特に塗装乾燥炉で塗料などが細かい霧になって少しずつ、混合した燃焼ガスの経路に堆積し、既定の燃焼量が確保できなくなるケースがあります。
ブロワーに問題がある場合の対策
風量が不足して燃焼空気が循環しないため温度が上がらない。逆に風量が多すぎて適切な温度になっていないケースもあります。
→ 以前の状態に戻すためのメンテナンスを実施します。
循環ダクトの修理
ダクトに穴が開くなど、温度循環が正常に行われていない場合
→ 穴が開いた原因を調査し、適切な仕様でダクトを修理します。
熱電対や補償導線の交換
● 表示温度が正確でない
● 熱電対が劣化しているケース
● 熱電対の寿命は、B、R、S(貴金属熱電対)は約2000時間。N、K、E、J、T(卑金属熱電対)は約1万時間程度が目安とされています。
● 補償導線が劣化しているケース
● 繰り返しの屈曲・ねじれ・引っ張りや、使用温度範囲を超えて使用した場合は断線や絶縁低下を引き起こす恐れがあります。
→ 熱電対または補償導線を交換します。
設備導入時点から熱の管理が不十分だった場合
炉の製品仕様や特徴によって、熱の管理が最初からうまくできていなかった場合もあります。その場合、炉の改造が必要です。限定的な改造によって効率的に効果を得られる可能性がありますが、何が原因かを定めるためのデータの収集と慎重な仮説・検証が必要です。
実際の事例
乾燥炉の温度管理に問題があり、温度分布の測定と修理・メンテナンスによって改善が図られた事例を紹介します。
事例①
連続式乾燥炉 炉内温度測定(O社)
・炉内の温度分布を調査 炉内温度と物温を同時に測定
・制御盤での表示・設定温度は炉内の一点での計測であり、炉全体では制御盤の温度プログラム通りに管理出来ないゾーンが発生する
・今回炉内を計測した結果、設定温度が110℃であるが、計測点以外で120℃まで達しているゾーンが判明
・色度管理が厳しい塗装物の場合は感覚で設定温度を決めるのではなく、測定数値によって温度設定するとよい
・測定結果によっては、設定温度を下げる事で省エネにもつながる
・写真の通り、ハンガーにぶら下げて測定するので平日の稼働状態で簡単に計測可能 測定結果から、温度設定の見直しにつながった
炉内の温度分布と物温を同時測定
事例②
バッチ式乾燥炉 炉内温度測定(K社)
・バッチ式でも同様に、制御盤での設定・表示温度は炉内の一点での計測のため扉付近や上下左右などで温度ムラがでてくる
・熱風出口量を調整する事により、炉内温度の均一化を図る
・風量調整のため、炉内の様々な点での温度測定を実施したところ、奥の温度が手前より高く、製品の不良率が高い事が判明。制御盤の設定温度を下げると今度は手前の製品の不良率が上昇するため、温度計測の結果から、熱風風量を奥と手前を調整したところ不良率の改善に成功
乾燥炉のバーナーをメンテナンス
事例③
③連続式乾燥炉 ダクトバーナー詰まり(風岡)
・炉内の温度上昇のスピードが以前と比べて遅くなっており、フレーム電流値も低いことから塗料吸引によるバーナーノズルが詰まり、炎の状態が悪くなっていることが考えられる。
・バーナーメンテナンスによる分解清掃と燃焼調整で改善を図る。
乾燥炉のバーナーをメンテナンス
専門家のアドバイス
温度管理やその問題の改善は、工場経営にとって非常に重要です。適切な温度管理を行うことで、生産の効率と製品の品質を大幅に向上させることができます。温度管理の改善をお考えの方は、ぜひご相談ください。
事例集・お役立ち情報・相談窓口
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