工業炉の熱効率とは?
工業炉の熱効率とは、投入された燃料(ガスや電力)のエネルギーのうち、実際に生産されるものに利用されるエネルギーの割合を示します。高い熱効率を実現することは、エネルギーコストの削減し、工場経営における生産性向上に直結します。また、環境負荷の軽減にもつながります。しかし、多くの工業炉が老朽化やメンテナンス不足、炉そのものの設計上の問題により熱効率が低下しています。
熱効率の重要性
熱効率の向上は、コスト削減だけでなく、環境負荷の軽減面や労働効率を上げ、生産性の向上にも寄与します。特に昨今のエネルギーコストの高騰により、多くの企業が熱効率の改善に関心を寄せています。
工業炉の熱効率を改善する方法
バーナー等の燃焼機器やプロセスの最適化
バーナーをはじめとする燃焼機器の最適化は、熱効率を高めるためには重要でありながらも、見落としがちなステップです。バーナーの不具合や空燃比を適切に調整することで、燃焼効率を最大化できます。
断熱材の使用
最新の断熱材を使用することで、熱損失を削減できる可能性があります。特にレンガを部材に使用している炉では、部材の隙間や崩れが熱効率の低下を招いているケースがあるため、問題個所の発見・点検とあわせ断熱材を利用した対処を検討します。
また、循環ダクトの劣化も大きく熱効率を損失させる原因の一つです。特にフランジ部や接合部からも熱風漏れはロスに直結します。サーモグラフィなどを使用して、漏れ箇所の特定を行い補修する事で熱効率の改善が見込まれます。
熱回収システムの導入
排熱を再利用する熱回収の仕組みを検討することや、そうした機能をもった炉を導入することで、エネルギーのロスを大幅に減らし、全体のエネルギー効率を向上させることができます。
メンテナンスと定期点検
定期的なメンテナンスと点検は、工業炉の熱効率を維持するために欠かせません。サーモグラフィを使用した調査などを検討し、熱風漏れを早期に正確に検出し、必要に応じて補修を行います。
- サーモグラフィでの調査: サーモグラフィを使用して熱風漏れ箇所を効率的に検出し、必要に応じて補修を行います。
- 数値比較:定期的に熱効率に影響する数値を測定し、異常があれば早期に対処します。
熱効率改善の具体例
以下は、実際に熱効率を改善した例を基にした具体例です。
藤商店様(愛知県知多郡美浜町)の事例(2021年3月19日)
業種:食品加工業
燃焼設備カテゴリ:シュバンクバーナー
えびせんべい等を製造している工場のメンテナンスです。今までほとんどメンテナンスを実施したことがなく、今回当社としても初めてメンテナンスをやらせて頂きました。
株式会社風岡様(愛知県海部郡飛島村)の事例(2021年5月23日)
事業内容:金属塗装
業種:金属塗装
燃焼設備カテゴリ:塗装炉
金属塗装の焼付乾燥で使用するバーナーのフルメンテナンスと燃焼ブロアの交換を実施しまいた。産業用機械など、大型部品の塗装を行う為、写真(メンテ後)の通り、比較的大きなダクトバーナーです。
東海アルミナ様 築炉修理(愛知県春日井市穴橋町)の事例
事業内容:ファインセラミックス成形品製造
燃焼設備カテゴリ:高温炉
高温炉築炉修理を実施し、熱効率の改善を図った事例。
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修理前の写真
開閉部の扉、炉枠、台車間で隙間が出来て熱効率が落ちる
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修理後の写真
高温炉築炉の修理後の写真。築炉の修理、ウールの張替えを実施して隙間がないように施工
老朽化した設備のケース
老朽化した炉では、バーナーや燃焼に関する一連の機器をメンテナンスし、適切な部品・部材の交換することにより、本来の性能を取り戻すことができます。
ガス使用量の多い炉のケース
例えば、溶解炉やトンネル炉では、燃焼プロセス全体の最適化と断熱材の改善や遮熱施策熱回収システムの導入によって、ガス消費量の大幅な削減が実現できます。
熱効率を改善することのメリット
コスト削減
熱効率の向上により、エネルギーコストが削減され、運用コスト全体の低減が可能です。
生産性の向上
熱効率の改善は、生産プロセス全体の効率を高めるため、製品の品質向上や生産量の増加にも寄与します。これにより、製品の納期短縮や事業の収益性向上が期待できます。
環境負荷の軽減
効率の悪い燃焼は、CO2排出量の増加を招きます。熱効率を改善することで、環境負荷を軽減し、持続可能な運営が可能になります。
まとめ
工業炉の熱効率を改善することは、エネルギーコストの削減、生産性向上、環境配慮など、多くのメリットをもたらします。具体的な方法として、燃焼技術の最適化、断熱材の使用、熱回収システムの導入、定期的なメンテナンスなどが挙げられます。これらの対策を実施することで、工業炉のパフォーマンスを最大化し、長期的な工場経営の改善・最適化・最大化を行うことができます。
専門家からのアドバイス
工業炉の熱効率を最大限に高めるためには、炉や燃焼プロセス全体を理解する専門家に調査とプロメンテナンスサービスを利用することをお勧めします。
炉に関するあらゆる設備状態を詳細に調査し、熱効率を低下させている具体的な問題点を特定するために、ニイミ産業では以下のような専門的な調査を提案しています。
- 燃焼プロセス全体の評価・改善: 既存の運用状況を把握したり、IoTを活用した見える化施策を通し、問題個所を絞ります。そのうえでバーナーの空燃比調整や様々な改善を行います。
- 熱風漏れの検出: サーモグラフィを使用して熱風漏れを検出し、対策を講じます。
- 断熱材の状態チェック: 断熱材の劣化や隙間の有無を確認します。
- 排熱回収の活用: 熱回収システムの効果を検証・評価し、具体的な改善策を提案します。
上記は工業炉の熱効率改善をするための手段の一部ですが、あらゆる角度から工場経営に役立つ支援を行っております。
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